わたしは幼少期はB'zの初期~全盛期時代にハマっていた時期がある。
今から見返しても、このころのB'zには注目すべき原石が散りばめられており、改めてまとめておきたいと思った。
言うまでもなくB'zは日本を代表するアーティストであり、ロックユニットである。
1988年にデビューしてから現在に至るまで日本のトップシーンを走り続けている。
そういった一般論はわたしがわざわざ言及するまでもなく、Wikiなどでおさらいすればよいだろう。
B'zは確かに邦ロックブームの中にあり、小室哲也の流れを組むものであるが、B'zはそれらすべてと一線を画す別格のものであるというのがわたしの見方である。
ここでいう全盛期のB'zとは、5th『In The Life』~8th『LOOSE』『Friends Ⅱ』までの期間とさせていただきたい。
この後も充分な活躍を見せるのだが、この辺りのB'zはちょうど発売するシングルが全て連続でミリオンヒットを達成するという常軌を逸する功績の期間にも概ね重なる。(まぁ、ここではB'zのセールスでなく価値的本質にのみ注目しているのでどうでもよいのだが)
B'zのどこが特別か?について少しづつ触れていこう。
まずサウンドの完成度が挙げられる。
このころのB'zのサウンドは、同時期の他アーティストと比べて圧巻で、それは松本の充分な仕事は勿論ながら、明石昌夫(Bass、アレンジャー)のアレンジメント能力と野村 昌之(レコーディング・エンジニア)のエンジニアリング能力に強く支えられている。
歌謡曲が根幹にありながら、ハードロックのワイルドさ、ユーロビートのきらめきが融合されており、哀愁とゴージャスさとダンサブルさを同時に味わえるサウンド、とでもいうべきか…。非常に贅沢なものである。
- 傷心(Friends Ⅱより)
松本のギターの存在も大きい。日本でよく目にする、入れ替え可能なとりあえずいるだけのギタリストとはまったく意味合いが違う。
海外のギターヒーローに影響を受けつつも、そのギターサウンドは独自の個性豊かなものであり、綺麗でハッキリした奏法とエレクトリックな音造りはすぐに松本のそれとわかる。
そしてグルーヴィーすぎずポップスの枠に収まるような絶妙な感じだが、存在力がしっかりと強力なため、巷のギターサウンドとは一線を画すものとなっている。
さらに加えて稲葉の圧倒的な歌唱が挙げられる。
メロディアスさと哀愁とワイルドさを兼ね備えたハスキーボイス、そして恐るべき倍音、ブルースを意識したフォール。
稲葉の声がサウンドに与える影響も素晴らしく、声部を一つ足しただけでは済まないようなオーケストレーションが加わるのだ。
(松本による)作曲のほうでも、メロディの択の素晴らしさは見過ごせない。
サビこそB'z節といえるようなパターンが予想できるのだが、ほとんどの場合、高品質なのはAメロとBメロである。
これの圧倒的たるゆえんは、その引き出しが海外のロックアーティストに起因するからだと考える。(ゆえに、パクリ/オマージュ論争を呼んだりもした)
当時の多くのポップアーティストの引き出しは国内を中心としているなか、B'zはグローバルに優れた引き出しを持っていた。
そしてそれを歌謡曲的なテイストに落とし込むのが上手かったのだろう。
簡素ながらも以上が、B'z全盛期が同時期の他アーティストと比較にならぬほど突出している理由である。
次回は具体的なアルバムレビューを行いつつ、上記の事実をより詳細に紐解いていこう。